051149 ランダム
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銀の月 蒼の風 黎明の海

銀の月 蒼の風 黎明の海

Act.11





 今日はハロウィン。授業も無く、皆がウキウキと仮装してお菓子を貰うのだ。

そのハロウィンにウィル達も参加することにした。というより、強制的にするはめになった。





Act.11



「わぉw ナルトにシカマル似合ってるじゃん♪」

「そうか?」

「....お前は似合ってるな」

「シカマルも似合ってるよ~ ドラキュラ伯爵v こういう時、変化の術って役に立つよね」



 今、ナルト達は変化の術で仮装していた。ナルトとシカマルは会話で分かる通り

ドラキュラだ。ナルトは金髪だったのを銀髪にしている。髪型はあまり変わらない。

眼の色はそのままだ。シカマルは髪を長くし、首元で結んである。

そして、ウィルはというと........。



「で、お前は何でそんな格好なんだ?」

「良いでしょv 女狐

「「をぃ」」



 そう、ウィルの格好は、綺麗な狐色の長髪に紅い眼。九尾の狐の擬人化である。

しかも、ご丁寧に頭に耳、お尻には九つの尻尾が付いている。その耳や尻尾は自在に

動かせるようだが、感覚は無いらしい。



「何だよ、似合ってないか?」

「いや、むしろ似合いすぎて...」

「如何いう意味かな? シカマル君」

スミマセンデシタ......

「分かれば宜し。さて、行こうか」

「そうだな」

「面倒くせえけどな」



 三人は部屋から出るまえに、もう一度お互いを見合う。そして、ニヤリと笑うと外に出た。

目指すは大広間。きっと、生徒達はもう集まっているだろう。







大広間...





 ザワザワと賑やかな大広間に三人がドアを開けて入ってきた。その途端、生徒達は

騒ぐのを止めてコソコソと耳打ちをしている。生徒達の反応に少しからずムッとするウィル。



【抑えろウィル】

【そうだ、いちいちこんな事で怒っていたら限が無い】

【...チッ 分かったよ】







 私は舌打ちして、此方を見てにこやかに笑っているダンブルドアの方へ足を向かわせる。

あ、いきなり、視点が変わったから驚いているでしょう? この創作者が、面倒だから

私に進めさせる気みたいなのさ。まぁ、この私の方が優秀だから?



 歩いている間も、生徒達はヒソヒソ話を止めない。いい加減、キレてくるよ。

しかも、校長は止めずに笑ってるし...。後で締めてやろうかしら。冗談はさて置き

私は今、校長...ダンブルドアに向かって、自分で言うのも何だけど、黒い笑みを

浮かべているわけ。それで、ダンブルドアは少しだけ顔が蒼くなっているわね。

ハッ、良い気味<酷っ



「校長? 如何したんですか? そんな蒼い顔をして(凄爽笑)」

「い、いや、何でも無いぞ?」

「そうですか...。それでは私は女狐なので...スネイプ先生を誘惑して参りますわv」

「そ、そうか、頑張って来るのじゃぞ;」

「はいw」



 それを聞いていたらしい、ナルトとシカマルは飲んでいたカボチャジュースを

噴出していた。汚いなぁ<お前の所為だよっ



「スネイプせ・ん・せv」



 私は忍び足でスネイプ先生の後ろに回りこみ、抱きついて耳元で囁いた。そしたら

案の定、怒られた<当たり前だ...;



「何をするのだっ」

「あら? 耳が赤いですわよセンセ?」



 面白い反応するなぁ~。これじゃきっと、昔はすごく意地悪されただろうね。

例えば、悪友とかに。<大当たりです憂屡サマ;



「貴様は何故、我輩ばかり構うのだ。他の奴を構えば良かろう」

「そんな....酷いですわ。私はこんなにも......貴方を愛しておりますのにっ

「なっ(///)」



 うわっ 照れてる。珍しいの見たよ......面白い。これ、面白いよっ。病み付きになりそうw

あぁ、何て良い反応をするんだスネイプ教授! スバラシイよっ



「私の気持ちに答えては下さらないの?」

「な、何を....ちょっと来いっ」

「まぁ、照れていらっしゃるのねv それでは皆様ごきげんよう。セブルスは貰って行くわv」



 スネイプ先生に手を引かれて私は大広間の間を抜けて、外へ出る。その時、ナルトと

シカマルから念話が届く。



【おい、大丈夫か?】ナ

【めんどくせー事するなよ;】シ

【大丈夫だよ。ごめんな~、そっちはどうなってる?】ウ

【お前の悪口が八割と賭け話をしているのが二割だな】シ

【何だよそれ; 何故悪口?】ウ

【スネイプ教授、結構モテてるみたいだぞ】ナ

【あぁ、それでか】ウ



 念話で話しながら歩いていると、いつの間にか止まっていたらしいスネイプ先生を

追い越していた。スネイプ先生は怪しそうに私を見ている。そりゃ、黙々と歩いていたら

怪しむだろうな;



「あ~、スネイプ先生?」

「貴様は何を...誰を見ているのだ?」

「は?」



 余りにも突拍子な台詞だった為、私は頭の上でクエスチョンマークを散りばめている。

スネイプ先生と話をしている時に誰か他の人を見ていたっけ? と、首を傾げる。



「貴様は我輩の事を....愛してるなどと言ったが

 貴様はいつも他の奴を見ているではないか?」

「え......? そんな事....っ?!」



 もしかして、注連縄の事?! この私の表情を読むなんてっ そんなにあからさまだったか?!

私は....どうしたら。遊び半分でスネイプ先生に告白したというのに。

ん? いつも? もしかして、スネイプ先生は私の事をいつも見ていた?



【ナルっ シカっ どうしよう?! 私はっっ】

【おい、どうした?!】

【何かあったのか?!】



「心当たりが.....あるようだな。好きな男が居るにも拘らず、何故我輩に告白などと言う戯言を?」

違う....違うっ 私は!―――」







「私は確かに注連縄に囚われ続けているっ だけど、その戒めの鎖を解く役目は

 スネイプ先生、貴方だけっ 私は、貴方の言葉に救われ、失いかけていたココロを

 取り戻した。だからっ、これからも私の支えであって欲しいのっ もう、これ以上

 闇の中に居るのは嫌っ 私は、もう独りにはなりたくないっっ

 暗闇にはもう、戻りたくなんか無い!!」








 思いっきり叫ぶと、私は崩れ落ちた。そして、声を押し殺して泣いた。人前で泣いたのは

これで二度目。最初は注連縄の腕の中で。そして今、ちょっと薬草臭いローブに包まれて

私は涙を流した。その時、ナルトとシカマルの微かな気配が直ぐ其処の角で感じた。

私は慌てて涙を拭い、スネイプ先生から離れようとしたけど、それは許されなかった。

それどころか、もっと力強く抱きしめる。



「す、スネイプセンセっ ちょっと、苦しっ」

「すまない。.....落ち着いたか?」

「......はい。御恥ずかしい所を御見せしてスミマセン;」

「構わん」



 いつも通りの素っ気無さに見え隠れする優しさに気付いて、私は思わず笑みが零れる。

そしたら、スネイプ先生が息を呑むのが分かった。



「先生? 如何したんですか?」

「い、いや、何でも無い」

「そうですか。それでは、ナルト達が居ますので失礼します」



 言い終わるか否か、ナルトとシカマルの方へ駆けていく。



「憂屡!!」



 長年使われなかった名前にピクリと私は反応する。その名前で私を呼んでいたのは注連縄しか

居なかったから。最初は、凄く戸惑った。それに気付いたのかは分からないが、今度は

優しく私の名前をスネイプ先生が呼ぶ。



「憂屡」



 その優しい声に、心が温まる感じがした。私は振り向き、最高の笑みを浮かべる。



「セブルス、今度部屋に行きますので、美味しい紅茶、入れてくださいね?」

「......あぁ。待っている」



 スネイプ先生は照れくさそうに言い、ローブを翻してまた広間へと戻っていった。

私もその後姿を見えなくなるまで見つめて、ナルトとシカマルの所へ行く。

ナルトとシカマルは私の顔を見てニヤニヤと笑った。そして「良かったな」と

言ってくれた。





 私達は部屋に戻り、色々話した。注連縄との思い出をナルトに話してやったり

ナルトが注連縄にすごく似ている事。そして、スネイプ先生への気持ちも。

ナルトは渋っていたが、シカマルに何か耳打ちされ、顔を赤くして否定していた。

何を話していたか分からないが、私達は一時の幸せを噛み締めていた。









 だが、幸せは長くは続かないもの。憂屡達が幸せそうに話している間、大広間は

大混乱に陥っていた。それが知らされるのは、あと数分後。












































05/07/19


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